霧島市霧島田口の霧島神宮に伝わります「霧島神宮御田植祭」(県指定無形民俗文化財)について、保存会の橋元雄二様にお聞きすることができました。
 「霧島神宮御田植祭」は霧島神宮に700有余年も前から伝わる神事舞です。毎年旧暦2月4日に五穀豊穣を祈願して霧島神宮に奉納されます。
 御田植祭の当日は、御本殿の前の広場に四方に忌竹を立てて注連縄を引回し、御斉殿を作ります。御本宮での祭典の第一の太鼓が鳴れば拝殿前にいた黒の衣服姿の牛の面をつけた神牛が、モオーと大声を上げて走り出します。そして、御本殿の祭典が終わると引き続き斉田にて御田植祭の諸行事が御神楽と共に始まります。
 最初にシバ引きの行事から始まります。両方から氏子の若者が十余名ずつで、椎の大枝をワッショイ、ワッショイのかけ声で斉田の中へ引き込んで、又と又とを掛け合わせ双方からエイ、エイのかけ声で引きます。やがて、引き裂かれます。そして、手早く葉のついた小枝を折り斉田一面にばらまきます。これでシバ引きの行事は終わります。
 いよいよ御田植祭の御神楽が始まると、翁が「鹿児島弁」で詞を唱えながら出てきます。翁と媼はいよいよ田植えの準備、夫婦共に能面を付けてマンガ(砕土器)を背に、媼は木で作った鍬をかつぎ腰を曲げながらとぼとぼ出てきます。本当に仲のよい夫婦です。そして、翁が、ビヨー、ビヨーと牛を呼び、マンガの引縄を付けられ、追い立てられながら代掻は進みます。時々、牛が角で媼をつく真似をしたりしてユーモラスに仕事は進んでいきます。そして、翁・媼・牛は退場します。その後、神職四名が「天津祝詞」を奏します。これが終われば、田の神様の登場で麻の古い袴にコダナシを着て、タスキがけですすけた笠をかぶり、大きなメシゲを手錫杖型の鈴を鳴らしつつ腰を低くかがめ地を這うような仕草で出てきます。御田の神様の詞は、明治以降に作られたのではないかと思われ、よく聴く日常の出来事をユーモラスに取り入れられています。田の神様が退場して、すべての神事が終わります。
 今回、お話をお聞きして詳しい資料を頂き、さらに画像までお送り頂きました橋元さんには、本当にありがとうございました。(この橋元さんの家系は、児玉家共々この御田植祭の諸神事舞を代々受け継いで奉仕されてる家系で神牛の役をされておられます)今後とも、よろしくお願いします。
(写真は「シバ引き」「神牛・翁・媼」「田の神様」と霧島神宮)
                     

扇寿堂
                    senjudou

 
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