鶴丸神舞 (鹿児島県湧水町)
湧水町吉松の鶴丸集落に伝わります「鶴丸神舞」について、保存会の園田憲雄様にお聞きすることが出来ました。
開催日については、現在きまってはいませんが、11月3日の町の文化祭(2008年に舞われた)や各イベント等で舞われます。また、町からの要請があった時なども行われます。そして、八幡神社に奉納されます。
吉松の神楽は、伊勢講とも呼ばれ、その昔各大字(おおあざ)単位で神体を持ち、講の形で祈願祭を行っていましたが、次第に大字単位の講は神体が粗末になるというような理由からくずれていきました。そして、九つの神体にそれぞれ統合された各神社ごとに講が行われていたのですが、現在では般若寺部落だけにこの形は残るのみとなりました。もっともこの講は、舞を踊るのではなく祈願祭だったようです。そしてこれとは別に、太々神楽、もと神職にあった者達が集って行われていた神楽が、それ以前からあったらしく吉松の神楽がいつの頃から始まったのかは、調査できませんでした。そして、次第にこの太々神楽に伊勢講の氏子達が、庶民の好みを敏感に取り入れた舞が加わって、太々神楽と里神楽が混合されたと思われます。そして、現在のような神楽が出来上がったと思われます。鶴丸を除く町内全部の舞が、中津川の持ち神楽になっていて、鶴丸だけは全く別に舞をもっています。しかし、別々に行われることはありません。
現在は、二十の神楽のうち十一の神楽しか舞われていないのは、残念です。ことに、楽の保存が難しいので何とか対策を講じて欲しいものです。
数ある神舞の中でも里神楽の代表とでも言うべき「田の神舞い」は、神楽神事の中では道化役・ピエロ的存在にあって趣があります。田の神の服装及び道具は、下がかすりのたっちゃげ(今のもんぺ)上がかすりの半天に、白足袋・黄の腰巻(縄のように編んである)・色物のたすき頭にはシキ(餅米を炊く時桶の下にしくもの)をかぶり、その上から白布で支え、腰には五尺天(きじゃくし)と幣をさし、両手に幣を1本づつ持ち、顔は厚化粧といったいでたちであります。
最後に、鶴丸の八幡神社に伝わる神舞は全て、まず四方殿示がありついで巡ぎゃくがあり、なびきがあって終わります。
昔は、その年の神楽をどの場所で行うか決めていたようで、九回場所を移っています。みこしをかついで、時には2km程離れたところで行われたり、川原でしたりしているようで、長いところでは15〜6年短い所でも2〜3年は同じ場所で行われていたようです。
今回、お話して頂きました園田さんには、本当にありがとうございました。今後とも、よろしくお願いします。
(写真は「鶴丸神舞」の保存会の皆さんと八幡神社です)
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