小木原太鼓踊り (鹿児島県大口市)
大口市小木原(こぎはら)集落に伝わります「小木原太鼓踊り」について、保存会会長の川野恭和(みちかず)様にお聞きすることができました。
「小木原太鼓踊り」は、昭和59年に消防団を中心に復活しました小木原地区の氏神、諏訪神社祭礼の奉納踊りであります。雨乞いや、虫追いの豊作祈願の踊りであると共に、かつては軍神である諏訪神社への奉納ということで戦勝祈願の踊りでもありました。それゆえに、出陣・陣形・帰陣が一つの流れで出来ており、気持ちを鼓舞させるような勇壮な踊りになっています。毎年8月の第3日曜日に諏訪神社に奉納されます。
平成4年からは、それまでの氏子の編成が出来にくくなった事もあり、小木原の中学生・高校生を中心とした踊りになっています。
楽器は鉦(カネ)・大太鼓(ウデコ)・小太鼓(コデコ)の三種類。楽譜はなく、ズン・ズン・ズン、キャン・キャン、ポッキャナ・ナンキャンといった楽器の音を書き付けたものが、楽譜の代わりをします。基本的には口伝です。ズンがウデコ(大太鼓)、桶胴の紐締め太鼓を体の前に抱き、左右の手に持ったイ草で出来たウッベ(バチ)で打つ。ポッキャナがコデコ(小太鼓)です。同じく紐締めの小型の薄い太鼓で左手に持ち、右手にウッベ(バチ)を持つ。キャンがカネ(鉦)です。左手に持ち高く掲げたり 下ろしたりしながら、右手の桐木で出来たウッベ(バチ)で打つ。鉦が全体の音と踊りをリードしていきます。
練習に励むと音や踊りが身に染みてきます。そして、高校生・中学生の動きも自然に体が反応して良くなってきます。
奉納踊り当日は、袴や着物姿に手っ甲・脚絆・足袋にわらじ履きの装束を身につけ、飾りをつけた菅笠や花笠をかぶり、ウデコ(大太鼓)はクジャクの羽根や七夕紙等で飾りつけた矢旗を背負い、矢旗が左右に大きく揺れ、女装束のコデコ(小太鼓)が中で舞い踊ります。全体の踊りが、躍動して踊ります。
皆で一つのものを作り上げるということは、気持ちを同じくせねば難しく、また成し得た時の充実感は、踊ったものでしか味わえません。郷土芸能を継承保存するということは、かけがえのない技術と心をつなぐ事でもあります。
今回、詳しくお話をして頂きました川野会長には、本当にありがとうございました。今後とも、よろしくお願いします。
(写真は「小木原太鼓踊り」と諏訪神社です)
senjudou