南さつま市坊津町泊 (とまり)地区に伝わります「唐カラ船まつり」について、保存会の鹿島和子様と鹿児島県民俗学会会員の早水廣雄様にお聞きすることが出来ました。
 「唐カラ船まつり」は戦後ずっと途絶えていましたが、昭和52年(1977年)に復活しました。これは、郷土の伝統風物詩を残そうと情熱を燃やされた 故・長井実茂氏(当時・九玉神社宮司)等を中心に実行委員会を結成され、復活の願いがかなったものです。
 この行事は、町内全域に「端午の節句」の男の子の遊びとして古くから伝わり戦前まで盛んに行われていました。坊津町泊の端午の節句は、以前は月遅れの端午の節句にあたる6月5日に、泊浜で子供達の健やかな成長と大漁・航海安全を願って開かれていましたが、現在では新暦の5月5日のこどもの日に行われています。
 当日の「唐カラ船まつり」は、泊公民館を起点に太鼓や踊りの行列を引き連れて地区内はもちろん地区外の出身者の1歳から6歳までの男の子が手作りの木造船を紐で引いて九玉神社までの約500mを行列します。
 九玉神社で無病息災のお祓いを受けた後、境内では黒い法被(はっぴ)に真っ赤な腰巻き姿の女子たちが、奴踊りを奉納します。その後近くの泊浜に下りて男の子達は、唐カラ船の競争を行います。祭りの締めくくりは、漁船からの餅投げで紅白の餅を大人も子供も奪い合い、歓声が浜一帯にあふれます。 
 唐カラ船の由来は、坊津に古くから伝わる玩具で昔の良き時代の”貿易船”や”御朱印船”を型どったものと云われています。華やかで趣のある帆は、白羽二重やモスリンなどを用い、中には誕生お祝いの時にいただいた晴れ着の布地を使って飾り、帆綱にはサイノコ(「さるのこ」と言われるぬいぐるみの人形)が綱を手繰るように賑やかにぶら下がっています。「唐カラ船」は「ガラガラ船」とも呼び各地区でも名称がいくぶん違っています。船に車がついていて引くとカラカラとなるので「からからぶね」「がらがらぶね」「があがあぶね」等の名称で伝わっています。
 今回、お話をして頂きました鹿島さんと早水さんには、本当にありがとうございました。今後とも、よろしくお願いします。
 (写真は「唐カラ船まつり」と九玉神社です)
                           

扇寿堂
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