いちき串木野市野元集落に伝わります「深田神社ガウンガウン祭り」(県指定無形民俗文化財)について、保存会の小原重行様にお聞きすることが出来ました。
 「深田神社ガウンガウン祭り」は、毎年旧暦2月2日に近い日曜日に深田(ふかた)神社で行われる春祭りに催されます。
 昭和62年に祭り班の再編成があり、現在4集落(野元・平江・深田上・深田下)合同で祭り班が編成されています。
 この祭りは、定まった台本はありませんが、亭長(テチョ)(父親)と太郎・次郎そしてコッテ牛(雄牛)が田植のさまを鹿児島弁のセリフをまじえながらユーモラスに表現する田園即興劇です。ガウンは「くわ」がなまった言葉といわれ、子供たちは「くわ」を模した木の股で、劇の間中 出演者の足を引っ掛けて転ばそうとします。たくさん転ばしたら豊作になるといわれ、五穀豊穣を祈った祭りと云われています。
 「ガウンガウン祭り」の劇の進行を述べてみます。
 第1幕 テチュ(亭長)(父親)の登場
   田植え唄の一番が終わり、2番の歌詞と同時にテチュが「ビョウビョウ」と掛け声をかけながら出て行きます。
 テチュは、「田打ち」をしながら見物人に話しかけ、見物人は「ビョウビョウくわ」でテチュの足を引っ掛けなどして場内「田打ち」して回ります。
 そして、水の管理をして「田よみ」の準備をし、太郎・次郎に「田よみ」を命じるために神社に入ります。
 第2幕 太郎・次郎の登場
   兄の太郎と弟の次郎はテチュから「田よみ」を命じられ、牛小屋に牛を引き出しに行ったけど肝心の牛はいません。二日酔いの兄弟はテチュから叱られるので牛を探しに場内を回ります。
探し回ったあげくなかなか見つからないので、牛の居場所を神様に教えてもらうために宮司に頼みに神社に入ります。まもなくして、牛は牛小屋に戻っているとのお告げがあり兄弟は牛を連れて登場します。
 第3幕 太郎・次郎・牛の登場
   牛は、「田よみ」をしたくないので、なかなか牛小屋を出ようとしません。
 兄弟は、ようやく「田んぼ」に引き出して「田よみ」を始めます。しかし、コッテ牛は元気が良すぎて思うように「田よみ」が出来ず、かじ棒の結び目がとけて牛が放れ、境内から裏山へ牛が暴れ回り独壇場となります。
 第4幕 テチュ(父親)の登場
   テチュは、「田よみ」が済んだので点検に田を見回りに登場します。しかし、思ったように「田よみ」が出来ていないので再び牛を引き出して来るように兄弟に言いに神殿に入ります。
 第5幕 太郎・次郎・牛の登場
   テチュから再度「田よみ」をするように言われ、兄弟は仕方なく牛を連れて登場します。牛は元気が良いために、社殿をでたらすぐ放れ境内から裏山を牛が暴れまわります。
 第6幕 テチュ(父親)の登場
   テチュが「田よみ」が終わった状態を見るために再度登場します。きれいになった田んぼを見ながら見物人に田植を呼びかけ、田植え唄にあわせながら祭り班・登場人物・保存会の皆さんによる田植えが始まります。
 第7幕 テチュ(父親)・太郎・次郎・牛(二人)が登場
   田植えが終わったら、テチュ・太郎・次郎・牛の計5人が餅を持って見物人にばらまき、祭りは終わります。
 以上で、「ガウンガウン祭り」は終わります。このように「深田神社ガウンガウン祭り」を永く保存していくために野元・平江に、それぞれ保存会が結成されています。
 今回、詳しい資料と共にお話をして頂きました、小原さんには本当にありがとうございました。今後とも、よろしくお願いします。
 (写真は深田神社です。祭りの写真は良いのがありませんでした。手に入りましたらUPします。)
                      

扇寿堂
                      senjudou

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