南さつま市笠沙町片浦集落に伝わります「片浦お伊勢講祭り」について保存会会長の坂上 巌様にお聞きすることができました。片浦は、過去において三度の大火災があり 古文書や古い記録がほとんど残っていませんので定かではありませんが、古老の人たちからの言い伝えが残っています。
 昔の人は一生に一度は、お伊勢詣りをすることができたら本人はもとより、子々孫々に語り伝えるほど名誉なことでした。しかし、遠く離れた「薩摩の国片浦」からお参りすることは容易なことではありませんでした。そこで、村人たちは講を起こし、これを「お伊勢講」と称し講を得た人がこのお金を持って(旅費)代表者を送るようになりました。その後、いろいろな困難があり、お伊勢様のご神霊を迎えまつるようになり代参の風習はなくなりました。
 お伊勢様をおまつりした当初は、毎年お伊勢様をお参りする家を決めていましたが、その後 何時の頃よりか長途の参宮の苦労を忍ぶために、御神殿を担いで行列をするようになったのが、お伊勢講まつりの起こりだとされています。
 毎年2月11日に野間神社宮司が公民館に出向き神事を行い祭りが始まります。
 数え年15歳のニセ(青年)たちを中心に若者たちが女装をし、天狗・ひょっとこ・恵比寿など色々な面をかぶり 長刀・槍・刀などを振り振りお神輿の先払いをしながら「オイヤナ、オイヤナ」と、大声で掛け声をかけながら練り歩きます。ニセたちが女装して面をかぶっているのは、お伊勢様が女神であられるので神のお心触らないようにと、また長刀・刀は御神殿を守るためです。それから、「オイヤナ、オイヤナ」の掛け声は、昔お伊勢詣りの旅費を集めて歩いたときの挨拶の言葉が「オイヤッナ」(いらっしゃいますか)であり、「オイヤッナ、お賽銭をタモハンカ」(お賽銭を下さいませんか)ともらって回ったので「オイヤナ、オイヤナ」の掛け声になりました。
 練り歩く途中、行列が見物客の中になだれ込み持っている長刀や槍などで見物客をたたいて回ります。見物客は逃げ回り、それを追う振り子で祭りは盛り上がります。触られた人は、1年間無病息災といわれているのでタンコブができてもありがたく受けることになります。(面をかぶっているので誰がたたいたかわかりません) この行事は、「ニセ入り」とも呼ばれ立志式にもあたります。
 今回は、お忙しい中 詳しくお話をお聞かせ頂きました坂上さんには、本当にありがとうございました。(後で、祭りのDVDまで貸して頂きました) 今後とも、よろしくお願いします。
(写真は「お伊勢講まつり」と保存会の皆さん、ニセの皆さん)
                     

扇寿堂
                    senjudou

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