日置市吹上町田尻中島集落に伝わります「妙音十二楽」(県指定無形文化財)について、事務局長の福留様にお聞きすることができました。
 建久7年(1196)、常楽院第十九住職宝山検校は、島津氏初代忠久に従って薩摩に来たと伝えられています。「妙音十二楽」は、宝山検校がそのときに伝えたものとされています。検校(けんぎょう)は、現在の吹上町下田尻に常楽院を建立し琵琶を吟弾して人々を三宝に帰依させ、島津の威徳に服させるのに務めたと伝えられています。
 「妙音十二楽」は、かつては南九州各地で盲僧たちによって演奏されていましたが、現在は毎年10月12日に中島常楽院で行われるだけになっています。
 「妙音十二楽」は、琵琶・笛・太鼓・手拍子・妙鉢・銅鑼・大法螺・小法螺の八種の楽器で演奏されます。
 最初に三礼の後、前楽を行います。前楽は八種の楽器を順番に少しづつ演奏し、それを三回繰り返します。
 次に回向神楽に入ります。これは琵琶・笛・太鼓・手拍子で演奏されるものです。
 その後、全員で錫杖経・般若心経を読経し、次に導師が堅牢地神をたたえる表白を読誦します。導師は十二楽の間、地神供秘法を行います。表白の後、十二楽に入ります。
 十二楽には、松風・村雨・杉之森・軒の水・五調子・忘れ撥・撥・橋・六調子・盤渉(ばんしき)・鳳の声・後生楽の十二曲があります。これを、先ほど紹介しました琵琶・太鼓・笛・手拍子などの八種の楽器で合奏します。これは、古来 寺院で演奏されてきた古典音楽です。後、これが薩摩琵琶に発展し、人々の教養を高め士気を鼓舞するようになったと云われています。
 今回、資料とお話をして頂きました福留さんには、本当にありがとうございました。今後とも、よろしくお願いします。
  (写真は「中島常楽院」です)
                        

扇寿堂
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