鹿児島市西田に伝わります「西田橋・地つき唄」(市指定無形民俗文化財)について、保存会指導者の徳重敏子様にお聞きすることができました。
  現在、NHK大河ドラマ「篤姫」のロケ地として注目されています西田橋(肥後の名工・岩永三五郎の架設)は石橋記念公園に平成5年の八・六水害のあと移設されていますが、かつては鹿児島市を流れる甲突川の五大石橋の一つとして参勤交代の行列が行きかう城下の玄関口となっていました。
 この「西田橋・地つき唄」は、西田橋の裏石に「架設弘化三年(1846年)」とありますが、それ以来百六十余年もの間 西田橋の架設にちなむ唄おどりとして、伊敷・草牟田方面に伝承されている貴重な民俗芸能です。
 橋を建設するときには、基礎の地ならしをして固める作業が今も昔も必要です。木を組み合わせてやぐらを組み、その中に太い棒を吊るして棒に結わえた何本もの綱をみんなで力を合わせて引いたり離したりして地面を突き固める。この作業が「地つき」であります。機械ができる前はどの建設現場でも見られた光景です。「地つき唄」は、そうした作業のタイミングを合わせたり、きつい作業から気をまぎらすために唄われたとも云われています。
 「西田橋・地つき唄」は、「前唄」「木やり唄」「西田橋」の三部からなっています。朗々と響きわたる三人の唄に合わせて、やぐらの下で地つき棒を持つはっぴ姿の男性を、十二人の女性がぐるりと取り囲んで綱を引きます。これに加えて「前唄」では白装束の三人が古式ゆかしい舞を、「西田橋」では赤い衣装も鮮やかな七人が軽やかで楽しげな踊りを披露します。「西田橋」では十の数え歌からなっています。橋の建設がいかに難工事であったかや、石材の切り出しや運搬方法など、当時の建設過程などが垣間見える歌詞が含まれていて、学術的にも貴重な資料となっています。「どすん、どすん」というリズミカルな地突きの音と、にぎやかな唄おどりが、復元された四連アーチの石橋の往事を偲ばせます。
 この度は、お忙しいところいろいろお話をして頂きました徳重さんには、本当にありがとうございました。今後とも、よろしくお願いします。
 (「西田橋・地つき唄」と保存会の皆さんです)
                       

扇寿堂
                      senjudou

  
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